エッセイ

8年。

もう8年、とも、まだ8年、とも取れる。8というのは中途半端な数字だ。実際、それは大昔のことのようにも、つい最近のことのようにも感じられる。

8年前、東北を襲った震災は、多くの人々の人生を変えた。かくいう自分も、あれはひとつのターニングポイントだったように思う。震災があったから宮城県を訪れ、同行者の勧めで東北大学に寄り道し、その2年後にはそこに入学することになった。

 

震災があってよかった、だなんて、決して思わないけど、人生が変わったのは確かだ。人生観、と言ってもいい。

 

宮城で過ごした5年間。仙台は被害が少なく、学生生活の中で震災を意識することはあまりなかった。しかし、電車に小一時間揺られた先に、手付かずの更地があるという現実が、ときおり頭をよぎることがあった。それはとても…この目で見てきたにも関わらず、現実の物とは思えなかった。仙台の繁華街で酒を飲み、酔い、叫んでいる自分からは、最も遠い世界のように思えた。

そう、ここ数年は、こう考えてしまうことがあるのだ。

 

「そんな自分が、今日、ご冥福を、などと言っても良いのだろうか」

 

年に一度、3月11日だけ、さも、片時も忘れたことはございませんみたいな顔して、亡くなった方々を想うことは、少々都合が良すぎやしないだろうか。

 

分かっている。どんな人でも24時間365日当時のことを考えてなどいない。誤解されそうな文章だが、別に、そういった人たちを批判しているわけではない。…ただ、確実に2012年や2013年は、自分は今とは違う感情でこの日を迎えていた、はずだ。

8年。中途半端な数だが、恐ろしく長かった。

人生観は、まだ少しずつ変わっていく。良い変化なのか悪い変化なのかは、神のみぞ知るところだ。

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