エッセイ

エアコンとバカ。

大学生の頃、ボクの家にはエアコンが無かった。

だから未だに、エアコンのことがよく分からない。例えば「夏は節電で28度」に対して「冬は節電で〇〇度」が分からない。だからネットで調べて22~24度で付けているが、これが適正温度なのかどうかは甚だ疑問である。毎月の電気代から察するに少しかけすぎなのかもしれないが、寒がりにはこれくらいが丁度いい。

 

ところがここ1~2週間ほど、24度で付けても部屋が暖まらなくなった。家に来た友人に「寒いからエアコンの温度を上げてくれ」と言われても、既に排気口からは24度の強風が吹いている。指先は冷え、PCを打つのも億劫になった。ギターも上手く弾けなくなった。

これはおかしいと気付くのが遅くなったのは、きっとエアコン文化が無かったからだ。恥ずかしながらボクは、エアコンを永久機関だと信じて疑わなかった。部屋に設置したその時から太陽が消滅するまで動き続ける、人智を超えた神のマシンだと思っていた。

 

だからエアコンに定期的な手入れが必要だなんて、露ほども考えなかった。…神に手入れは要らないからだ。

 

しかし明らかにパフォーマンスの落ちたそれを見て、ガサゴソと取扱説明書を読んでみれば、なるほど、2週間に1回は手入れをしましょうと書いてある。

目が覚める思いだった。エアコンはただの家電なのだとようやく認識できた。この家に来てから7か月間、積もりに積もった負債を返す時が来たようだ。フィルターの埃を打ち払い、エアコンを付けると、5分後には部屋全体がほんわかとした暖かさに包まれた。

 

室温はあっという間に24度まで上がった。ボクはそこで初めて、24度の本当の暖かさを知る。やっぱり、寒がりにはこれくらいが丁度いい。

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