レビュー

あけまつしんじという男

昨日は、「合同会社Haikara City」社長の、あけまつしんじさんと飲んだ。

もうかれこれ6年くらいの付き合いで、ふたりで音楽をやっていたこともある。実はいまだにYouTubeで聴ける。

 

彼は音楽の道を離れ、教育の道ヘ突き進み、成功を収めている(なんて軽々しく言うと、「いやァ、ボクなんてまだまだですよォ」と謙遜されそうだが)。昔は肩を並べていたのに、今はずいぶん遠くへと行ってしまった。

 

彼の大胆なシフトチェンジには、「あっぱれ」と言うほかない。

 

なぜなら、音楽でプロを目指す人間には「辞めどき」がないからだ。

 

音楽は身体の動く限りいつまでも作れるし、「プロになれない」ことを証明する術など、どこにもない。

あるのは「いつか花開くかも」という根処のない妄想だけだ。

あるのかも分からないゴールに向かって、若者は突き進み、自分の無力さに涙を飲む。しかし何度諦めたところで、またふらりと帰ってくる。···夢をどうこう以前に、みな、音楽が好きだからだ。

あけまつさんも例外ではない。彼だって人一倍、音楽が好きだった。音楽の話で明かした夜は数知れず、曲は偉大な先駆者へのリスペクトで溢れていたし、何より、彼の歌声はとても魅力的だった。当時ボクは、「この人には音楽で勝てない」と毎日歯ぎしりしていた。···才能への嫉妬だ。

辞めるにあたって、相当の葛藤があったに違いない。それでも彼は、ある日を境にスパリと辞めた。その潔さは気持ちよかった。

 

そして4年が経ち、今は何食わぬ顔をして(なんて軽々しく言うと「いやァ、大変だったんですよォ」と嫌遜されそうだが)、教育で飯を食っている。

音楽ではなかったにせよ、彼はひとりの「プロフェッショナル」になった。誰にも雇われず、「あけまつしんじ」を職業にして生きている。そして最近はついに従業員を抱え、他人の人生までも背負いだした。

 

それって、最高にカッコいい。

 

男なら、憧れずにはいられない。

その「生き様」に。

 

そうしてボクは、だんだん自分が情けなくなった。

記事の最初に、ボクはなんて書いた?

 

「昔は肩を並べていたのに、今はずいぶん遠くへと行ってしまった。」

………………。

 

···いや、追いつけ追い越せの気概でいろよ、この凡人が!

 

「つきおかひこほ」で飯を食うぞとボクは心に固く誓い、そして気づいたら朝になっていたので、始発に乗った。

おすすめ記事

1

「今日の定食は、味、濃かったですか?」 見慣れた日高屋のレジで、見慣れたおばちゃんにそう問われた。 「味···ですか」 このおばちゃんとは今まで「野菜たっぷりラーメンの麺大盛りで」「あい」くらいしか会 ...

2

昼から飲んでしまった 好きな居酒屋が「ハッピーアワー」なるものをやっていて、12時から14時まですべてのメニューが半額だという。そんなことがあっていいのか。 元の看板に被せていくことで、「細かいことは ...

3

名前を変えました このブログのタイトルを「月岡彦穂オフィシャルサイト」から「タメになってたまるかマガジン」に変えました。 「タメマガ」にした理由は、マジで記事がひとつもタメにならないからです。読み返し ...

4

昨日、友人(女性)と池袋で飲み、二次会の店を探している道中、「いつ行っても閉まっているバー」の存在を聞かされた。4回行って、4回とも閉まっていたらしい。それはもう閉店しているのでは、と思ったが、どうや ...

5

ボクの母と祖母の誕生日は非常に近く、7月13日と7月15日だ。 近くて覚えやすい、とみんなは思うかもしれない。   しかし残念ながら、ボクはいまだに、どちらがどちらの誕生日なのか覚えていない ...

6

国立大学の二次試験。今日は全国の受験生にとって、決戦の日だ。 自分も、6年前はそのうちの1人だった。   仙台という土地に来るのはそれが3回目だった。でも新幹線に1人で乗るのは、今回が初めて ...

7

池原のぞみは、食後のデザートをプリンにするかバウムクーヘンにするかで悩んでいた。 友人の月野春彦の住む、小さなベッドタウン。その駅前の居酒屋で、池原のぞみはタブレット型のタッチパネルを手に、もう30秒 ...

8

アニメ『ラブライブサンシャイン』を二期まで10日で見終わりました。 「食事中、電車移動中は必ず見る」というルールを定めれば、社会人でも2クールのアニメを10日で見終わるのだという"結果"を得ることがで ...

9

「ウミガメのスープ」というクイズをご存知だろうか?   海の近くのレストランに男が訪れた。男はウミガメのスープを注文した。一口食べて店員を呼び、こう尋ねた。『これは本当にウミガメのスープか? ...

10

レシートが溜まっていく。   家計簿なんかつけていないので、僕にとってレシートには何の価値もない。ただの燃えるごみだ。 捨てたほうが良いに決まっているのに、次の日財布を開けるとまだレシートが ...

-レビュー

© 2021 タメになってたまるかマガジン Powered by AFFINGER5