エッセイ

はじめてのアロマオイル。

加湿器を買ったのだが、水道水の臭いが気になって仕方がない。

関東の水は臭い。これだけははっきり言いたい。飲めたものじゃないし、最初はシャワーすらキツかった。

加湿器から出る水蒸気まで臭うのは、少し意味不明ではあるが事実なのだから仕方がない。
住居を守るべく、アロマオイルの購入を決意した。

しかし、生まれてこの方アロマオイルなんて買ったことが無い。

「アロマオイル どこで買う」で検索すると、アロマ専門店、と出てきた。馬鹿にしてるのか。
しかし、馬鹿なのはボクであった。なんと職場の近くに、アロマ専門店があったのである。

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店に入ると、同い年くらいの女性店員からすぐに話しかけられた。

「何をお探しですか?」
「加湿器に入れるアロマオイルを探してます。」
「でしたらこちらがおススメですね。一番人気なんですよ。」

案内された小さな瓶を花に近づけると、花弁を1000枚すり潰して凝縮したような匂いが鼻孔をついた。
クラクラした。ボクは本当にこれを買いに来たのか?

しかし水道水の臭いに比べれば、マシである。どうせ充満するなら、カルキよりも花がいい。

10分ほど様々な瓶に鼻を近づけ、これはという一本を見つけた。
先の女性店員からスタンプカードをもらったが、スタンプが全部貯まるころにはボクの鼻は機能を失っているだろうから、これは使えなさそうだな、と思った。

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いそいそと加湿器にオイルを垂らす。

瞬間、店で嗅いだ強烈な匂いを、これ以上でも以下でもない所まで薄めた芳醇な香りが、フワリと部屋中に漂った。

リラクゼーション、と書かれた瓶をまじまじと見る。女性店員は「ワンシーズンは持ちます。」と言っていた。

なるほど、今年の冬は、楽しくなりそうだ。

-エッセイ

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