エッセイ

秋と除湿とギターのはなし。

最近めっきり寒くなった。

部屋の中でも、半袖一枚ではいられなくなった。長袖か、ときにはパーカーを羽織ることさえもある。

 

しかしなぜか、我が家の湿度は一向に下がらない。

なぜ僕が湿度なんか気にしているのか。それはひとえに、ギターがあるからだ。

あの木製楽器は、少しの湿気ですぐに機嫌が悪くなる。錆びてみたり、曲がってみたり、様々な手法で不満を訴えてくる。

 

あいつのためにも、除湿器を買ってやろう。

 

毎年夏になると思う。そして、電気屋の値札を見て躊躇っているうちに、夏が終わる。

 

そういうところが、僕を小物たらしめているのではないか。この夏はようやくそう思った。

 

幸いにも、学生を終えて労働を始めたので、去年よりは懐も厚い。これは今しかないと、電気屋までチャリを飛ばした。

片道20分。季節は真夏。汗だくになりながら涼しい店内に入り、導かれるように大型家電のコーナーへ。

シャープか、パナソニックか。除湿器にも何種類かあるみたいだけど、何を基準に選んだらいいのかな…まずは店員さんに聞いてみよう。

そんなことを考えながらキョロキョロしていたら、

 

あった。

 

たかーい。

 

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今年も夏は終わった。

くすんだギターの弦が、PCを叩く僕を睨んでいる。

-エッセイ

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