ユーモア

ボディソープを求めて。(後編)

ボディソープを求めて。(前編)

さて、普段目にしていてもいざ探しに行くとどこにも無い、という現象に名前はあるのだろうか。

DOVEなんて王道だし、ドラッグストアには必ずある気がしていた。いつだって買えるだろうと。

だから油断していたのだろう。DOVEを買うのを後回しにしたまま、気が付けば21時を回っていた。

そのときボクは新宿の歌舞伎町にいた。当然というかなんというか、ドラッグストアは夜でも煌々と明かりが点いていた。さすがは都会。夜の街。すぐに買えるだろうと思って、適当な店に入った。

結論から言おう。その店にDOVEはなかった。そして不運なことに、駅までの直線ルートの中にはもう、ドラッグストアはなかった。道の対岸や、少し後ろにならあるのに、直線ルートには、ひとつもなかった。

その日ボクは疲れ切っていた。これ以上寄り道をする体力はもはやなかった。最寄り駅のドラッグストアはとっくに閉まっている。DOVEは明日、昼に買いに行こう。完全に諦めて電車に乗り、DOVEのことなんて忘れてふらっと入った最寄り駅前のセブンでそれと出会い、「あっ!!!」と声を漏らしむせび泣きながら購入し、これだよこれみたいな匂いに包まれてその日は爆睡し、半分残して捨てたボディソープに追いかけられる夢を見た。気がする。

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