エレキギターのレコーディング、と聞いて、みなさんはどんな景色が思い浮かぶだろう。
広いスタジオ?巨大なアンプ?耳をつんざく轟音?
どれも正解であり、不正解だ。それらはごく一部の恵まれた人間がやるものだ。例えばボクは、そんな風には録れない。家でやったら、それこそこの街に住めなくなってしまう。
だから仕方なく、狭い自室に、小さなスピーカー。ぺちぺちとした生音で、ギターを録っている。生音はケーブルを通してPCに取り込まれ、その中で魔改造されて轟音になる。
この録り方を「ライン録り」と呼ぶ。
一方、冒頭で述べたような恵まれた録り方を「マイク録り」と呼ぶ。当然、マイク録りの方が音が良いとされている。みんなが聴くようなロックバンドの音源は、ほとんどがマイク録りだ。
しかし、ライン録りはマイク録りの下位互換ではない。ライン録りにはライン録りの良さがある。
なんなら、ライン録りの方が「優れている」とボクは思っている。その理由は後編で。