エッセイ

絶好の花見日和

今日は、絶好の花見日和であった。

駅前の桜は満開で、しかし主張しすぎず、あくまでただ、そこにある。緩い風が吹けば、春の香りにあてられた、ベージュ色のオヤジが鼻をかむ。

紛れもなく、春だ。

大学生だろうか。若いカップルとすれ違う。女性が持っているのは、弁当箱か。歩くというよりは、もはやスキップで進んでいる男女を見ていると、ルンルン、というオノマトペを生み出した人の気持ちもよく分かる。

街は、静かに浮かれている。

ボクは、ティッシュを一箱空にして、真っ赤な鼻で今日も家に帰る。痛い。鼻、超痛い。春なんて大嫌いだ。街は浮かれている。

-エッセイ

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