エッセイ

年末が好きだ。あなたは年末は好きですか?

12月26日。朝8時。チェスターコートに包まって職場へと歩く。

道路に車は少なく、おそろいの鞄を背負った運動部らしき学生もまばらだ。

コンビニの前では、サンタ帽をかぶった金髪の女性が3人で座り込んでいた。この寒さの中徹夜で飲んでいたのだろうか。足元には潰れたアルミ缶が散乱している。

 

綺麗だ、と思った。

それは珍しく朝日を浴びたことで、気が動転していたのかもしれない。

 

でも確かに、綺麗だ、と思った。

 

彼女らは、街の風景に綺麗に溶け込んでいた。そこには何の違和感もなかった。学生、車、木枯らし、サラリーマン、それらと交じり合って、ひとつになっていた。街の風景と人々の振る舞いがひとつになって「暮らし」を形作る様を、確かに見たような気がしたのだ。

そしてその中には、むすりと歩くチェスターコートの青年も、きっと入っていたように思う。

 

12月27日。朝8時。クリスマスが終わり、人々は年末へと向かう。もしかしたら一年で一番好きな時期かもしれないぞ、と思いながらマフラーに顔をうずめ、今日も歩いていく。

 

年末が好きだ。あなたは年末は好きですか?

 

-エッセイ

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