ユーモア

どうしてもアイスクリームが食べたかった。

夜中にふと、アイスクリームが食べたくなった。

この間、台風の日に食欲に負けて、暴風雨の中をコンビニまで走った。

 

「なにもこんな日に来なくても。」レジに置かれたアイスクリームを見て、おばちゃんが言った。

「飲むものがなくて。」隣に置いた麦茶を指して、僕は愛想笑いをした。

 

素直にアイスだけ買えばいいのに。体裁を気にして麦茶も買ったのだ。「台風の中アイスだけ買いに来たのかしら。おかしな人だわ。」

 

買いためておけばいいのに、なぜかひとつずつ買ってしまう。貧乏症。おばちゃんの言うとおりだ。なにもこんな日に来なくても、いつもの帰り道で3つくらい買っておけばいいのだ。

でもそうじゃないんだ。僕にとってアイスは買うところから娯楽なのだ。ショーケースからどれにしようかと選んでいるあの時間。あれが好きで僕は夜中に出歩くのだ。食べたい半分、選びたい半分というか…。お判りいただけるだろうか…。

だから今のままでいいのだ。帰ってきてビニールを開くのも、さっきまで他人だったアイスが自分の物になっているのもたまらなく愛おしい。

 

今度行ったらおばちゃんに言おう。「僕は選ぶという行為が好きなんです!!だからまた深夜に来ますね!!!」

 

おばちゃんはたぶんこう言う。「うちじゃなくて良くない?」

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