ユーモア

ボクの成人式と黒歴史の話。

今日は成人の日なので、成人式の思い出をひとつ。

---------------------------------------------

中学の頃、ボクには友達と呼べる存在がほとんどいなかった。下品な話だが、当時から所謂「スクールカースト」は存在していて、ボクは間違いなく最下位だったと思うし、周囲にも溶け込めていなかった。今にして思えば無理に溶け込もうとしなくても良かったのに、当時は何とか溶け込もうと必死で、いつも空回りしていた。

中学時代に楽しい思い出なんて殆どない。だから成人式に行くのは気乗りしなかった。しかし、腐っても一生に一度のイベント。ついでに実家から会場までは歩いて5分。トドメに小学校から一緒の親友に「一緒に行こう」と誘われ、ボクは慣れないスーツに着替えて街へ出た。

---------------------------------------------

会場に着くとそこはさながら立ち飲み屋のようで、スーツの男と着物の女が5〜6人で談笑している姿が散見された。その中を肩身狭くおずおずと歩いていると、知らない女性に「ねぇ」と声をかけられた。

 

女「月岡くんだよね?」

月「はい」

女「私×××だよ。覚えてる?」

月「あー…2年生の時同じクラスだった?」

女「月岡くん、YouTube見たよ。音楽やってるんだね。すごいね。いつか有名になったら自慢するね。頑張ってね。」

 

思えばこの時、ボクは勘違いしてしまったのかもしれない。自分の音楽は大学の垣根を飛び出してこんな所まで届いているのだと。だから成人式後の中2クラス同窓会に参加したのも、きっと自己顕示的な下心が出てしまったからだと思うし、更に言えば当時の記憶を上書きしてやろうと意気込んでいたのかもしれない。

---------------------------------------------

駅前の居酒屋は酒気と活気に満ちていて、そこかしこで思い出話に花が咲いていた。身から出た錆とはよく言ったもので、タネを蒔いて来なかったボクには当然花は咲かず、錆が零れ落ちるばかりで、気がつくと貸切部屋の隅で1人お酒を飲んでいた。

飲み会も終盤。20歳の男女は皆ヘラリと酔っ払い、ボクはなんとか馴染もうと1人で杯を煽るも、まったく酔えなかった。いくつになっても溶け込もうと必死で、やっぱり空回りしていた。

会話が聞こえてきた。当時クラスの中心にいた女と男が、甘そうなカクテルを片手によく通る声で話している。

 

女「×××く〜ん」

男「なぁに?」

女「端っこに1人でいるあの人、誰だっけ?」

男「あぁ、えっと、月岡くん?」

女「そうそう、それ。…ねぇ×××くん、可哀想だから話かけてあげなよ(笑)」

男「おっけ(笑)」

---------------------------------------------

今にして前向きに捉えれば、女は気を遣ってくれたのかもしれないし、やっぱりただ×××くんと会話するキッカケに利用されただけかもしれない。結局男とは二言三言会話をし、1分もしないうちにそそくさと退散していった。「どこの大学行ってるの?」「仙台かぁ、行ったことないなぁ。何県?」

 

成人式の会場でYouTubeを見たと言っていた女は、どこを見渡してもいなかった。後になって分かるのだが、彼女は1年生の頃のクラスメートだった。ぐるぐる空回りした頭で、エービタイムシーユーと口ずさむ。誰も聴いていない。

-----------------------------------

【エービタイムシーユー】

当時はデモ音源がYouTubeに上がっていました。

おすすめ記事

1

「今日の定食は、味、濃かったですか?」 見慣れた日高屋のレジで、見慣れたおばちゃんにそう問われた。 「味···ですか」 このおばちゃんとは今まで「野菜たっぷりラーメンの麺大盛りで」「あい」くらいしか会 ...

2

昼から飲んでしまった 好きな居酒屋が「ハッピーアワー」なるものをやっていて、12時から14時まですべてのメニューが半額だという。そんなことがあっていいのか。 元の看板に被せていくことで、「細かいことは ...

3

名前を変えました このブログのタイトルを「月岡彦穂オフィシャルサイト」から「タメになってたまるかマガジン」に変えました。 「タメマガ」にした理由は、マジで記事がひとつもタメにならないからです。読み返し ...

4

昨日、友人(女性)と池袋で飲み、二次会の店を探している道中、「いつ行っても閉まっているバー」の存在を聞かされた。4回行って、4回とも閉まっていたらしい。それはもう閉店しているのでは、と思ったが、どうや ...

5

ボクの母と祖母の誕生日は非常に近く、7月13日と7月15日だ。 近くて覚えやすい、とみんなは思うかもしれない。   しかし残念ながら、ボクはいまだに、どちらがどちらの誕生日なのか覚えていない ...

6

国立大学の二次試験。今日は全国の受験生にとって、決戦の日だ。 自分も、6年前はそのうちの1人だった。   仙台という土地に来るのはそれが3回目だった。でも新幹線に1人で乗るのは、今回が初めて ...

7

池原のぞみは、食後のデザートをプリンにするかバウムクーヘンにするかで悩んでいた。 友人の月野春彦の住む、小さなベッドタウン。その駅前の居酒屋で、池原のぞみはタブレット型のタッチパネルを手に、もう30秒 ...

8

アニメ『ラブライブサンシャイン』を二期まで10日で見終わりました。 「食事中、電車移動中は必ず見る」というルールを定めれば、社会人でも2クールのアニメを10日で見終わるのだという"結果"を得ることがで ...

9

「ウミガメのスープ」というクイズをご存知だろうか?   海の近くのレストランに男が訪れた。男はウミガメのスープを注文した。一口食べて店員を呼び、こう尋ねた。『これは本当にウミガメのスープか? ...

10

レシートが溜まっていく。   家計簿なんかつけていないので、僕にとってレシートには何の価値もない。ただの燃えるごみだ。 捨てたほうが良いに決まっているのに、次の日財布を開けるとまだレシートが ...

-ユーモア

© 2021 タメになってたまるかマガジン Powered by AFFINGER5