深夜の雨が好きだ。
しとしと降るやつは嫌い。ざあざあ降るやつ。雨はあれに限る。
そんな夜はイヤホンを外して、傘が撃たれる音を聴きながら帰る。
居酒屋でバイトしていたあの頃。
0時を超えた車道に人の気配はなく、たまに通る車の轟音がやけに耳についた。
その夜も、ざあざあと雨が降っていた。
冬の刺すような寒さの中、マフラーに顔をうずめて歩いた。
家を目前にした24時間営業のスーパーで、安い発泡酒を買った。
早くシャワーを浴びたかった。でもなぜか、家を通り越して歩き続けた。
誰かに会いたい。深夜の雨にはそう思わせる力がある。
雨の破裂音をつまみに、発泡酒を飲んだ。
誰にも会えない。深夜の雨にはそう思わせる力がある。
そして僕は家に帰って、夜雨という曲を書いた。