レビュー

「ノルウェイの森」の虚しさについて。

誰とも深く付き合えない。

直子にはキズキの代わりにされ、行きずりの女には浮気した彼氏の代わりにされ、突撃隊も突然引っ越してしまい、永沢さんとは一線を引き続けて遂には絶縁する。ミドリとあの後どうなったかは、誰にも分からない。

ノルウェイの森の「虚しさ」はそこにあるように思う。そして発表から数十年経った今でも、この本を読んだ人は少なからずこう思うのだ。「ワタナベは自分だ」と。

誰かと深く付き合った経験はあるだろうか?恋人。親友。家族…。絶対に君でないといけない場面は、人生で何度あっただろうか。しかし思い出してみてほしい。君が裸で愛し合った女性も、1月後には別の男に抱かれていたじゃないか。

その時の虚しさを、覚えていないだろうか。ワタナベに自分を重ねていないだろうか。僕らはみなワタナベではないが、何処かワタナベなのだ。人はその虚しさと常に隣り合わせで、幾らかの虚しさを抱えて生きているのだ。

そんなことをふと思ってしまった。名作、ノルウェイの森。何度読んだか解らないが、いつ読んでも考えさせられる。名作たる所以は、時代を問わない主人公の普遍性だと、ボクは思う。

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