元大手塾講師が語る、塾のアルバイト大学生たちが可哀想すぎる話。

ガラにもなく教育のことを書いてみようと思うわけです。

 

というのも、ボクの前職は都内にある大手学習塾の正社員でした。教育業界に身を置いて今年で7年目になります。若いながらも色々な人を見てきました。

そんなわけで今日は、「大学生アルバイト講師」について書こうと思います。


はじめに

特定の会社を否定するつもりはございません。あくまで「塾業界全体」に対する意見だとご理解くださいませ。では、本編をどうぞ!

 


良い先生、なんてほとんどいない。

まずは大学生アルバイトではなく、社会人の、いわゆる「プロ講師」の話をしましょう。

 

お子さんを塾に通わせている親御さんにはショッキングな事実を冒頭から書きますが、「良い講師」なんてほんの一握りです。ボクの体感では、塾の教室ひとつにつき(規模にもよりますが)”良い講師”はまぁ1人いれば良いほうかなと。

“良い講師”が1人もいない教室、なんてのもザラです(または”良い講師”は教室長になって授業からは退いているパターン)。宝くじで言うところの「当たりが出ない店」が、塾にもあるということです。

 

 

じゃあ良い講師はどこにいるの?

しかしまあ、良い講師はもちろん、少ないながらも存在します。例えば進学実績も豊富で、人当たりも良くて、昔は進学校の教員で、今はスタディサプリの映像授業まかされてます!!!みたいな超エリート講師も中には存在します。実は都心の大手塾には、そんな講師が意外とホイホイいたりします。

 

ただ、お子さんがそのエリート講師に教えてもらえる可能性は極めて低いです。なぜならエリート講師は大抵、「優秀生の集まる大型校舎の最上位クラス」を教えているからです。

 

 

「〇〇塾のホームページに載っていたあの人に、近所の△△教室に入会したら担当してもらえるのかしら…?」いいえ、もらえません。エリート講師は都心で高給でバリバリやっているので、地方の小さな校舎にはいません。

 

そして地方の小さな校舎では大抵の場合、大学生アルバイト講師が担当します。

 

そして「大学生アルバイト頼みで運営している塾」って、意外と多いんですよ。というわけで、ここからが本題です。

 

 

 

大学生アルバイトのあたりはずれ

あたりはずれ、激しいですよ。だって数か月前まで高校生だった1年生と、教員採用試験に合格した4年生が同じ土俵で働いているわけですから。

もちろん、大学1年生をディスっているわけではありません。ボクも教育をはじめた時は大学1年生でした。誰だって最初は初心者ですし、彼らが羽化する可能性は存分にありえます。

 

ただ、塾という業界は大学生を殺します。その理由を、ここから書いていきます。

 

 

すべては人材不足の弊害

まず前提として、塾は入れ替わりの激しい業界です。

大学生の寿命は長くて6年(ドクターは除かせていただきます)ですし、正社員の定着率もかなり悪いです。ボクの前職では、同じ部門の同期9人中、5人が1年半以内に辞めました。

 

講師が辞めても生徒やコマは残ります。塾は当然、運営のために新しい講師を採用するしかありません。しかし先述したようなエリート講師は都心の校舎に取られてすでに手一杯。正社員はいつでも気軽にホイホイとれるものでもないし…。そうするとやはり、アルバイトの大学生が塾的には一番取りやすいのです。

 

 

育てる時間も体力もない

取った大学生はどうすると思いますか?丁寧な研修?模擬授業?教材研究?

答えは×です。大抵の塾は、採用した次の日から現場にぶちこみます。

 

理由は単純。講師が足りないからです。穴埋めだからです。育てる時間も、体力もないんです。

 

そしてもう一歩踏み込んだことを書けば、大学生の寿命が短いのを大人たちは知っています。アルバイトで取った大学生は、卒業後そのまま塾に就職するでしょうか?いいえ、95%は入りません。正社員の過酷な働き方やザルのような辞めっぷりを見て、普通の感覚を持つ大学生なら「こんなブラック企業入りたくない…」と思いますから。

 

そして大学生からそう思われていることを、塾の大人たちは自覚しています。確信犯なんです。だからこそ、わざわざ時間と労力を割いて、見込みのない人間を育てません。これは残酷ですが、大学生アルバイトが辞めたところで、代わりなんていくらでもいるのです。

 

大学生がかわいそう

なので入ったばかりの新人講師には、「現場で学べ」と教育します。実際、教科書レベルの個別指導なら、初めてでも一応それっぽい授業にはなります。でも正直、「え、親御さんはいまの授業に3,500円払うの…?」と思うことがほとんどです。

 

重ね重ね言いますが、別に大学生を責めているわけではありませんよ!…それこそ昔、初めての授業を終えたばかりの新人(大学1年生)と休憩室でばったり会い、おつかれさま、と声をかけたところ、彼は涙ながらにこう訴えてきたことがあります。

 

  • 「ふがいない授業をしてしまった…」
  • 「生徒に申し訳ない…」
  • 「自分の力不足が情けない…」

 

いやいや、あなた今日が初めてでしょう?良い授業なんてできるわけないって。むしろそんな状態で現場に放り出した上のおっさんが悪いよ…、と思ったのですが塾でアルバイトをする大学生は責任感が強い傾向にあるので、彼は終始うつむき、自分を責め、反省していました。可哀想に。確かに反省は必要かもしれないけど、初めてでそこまでヘコむ必要はないんだよ?

 

結局、彼はすぐに辞めてしまいました。残った学生の質はお世辞にも良いとは言えず、授業中も生徒と好きな女優の話で盛り上がったり、休憩室には「生徒からの質問が分からなかった時の逃げきり方」なんて紙が貼られていました。逃げんな。

 

若手正社員の離職率を下げるのが最優先では?

問題解決のためには、まず若手正社員の離職率を下げるのが最優先だと思います。

 

若手正社員がイキイキと働いていれば、大学生だって塾のアルバイトが好きになります。だって歳の近い正社員がイキイキと働いていたら、塾で働くような真面目な大学生は感化されるはずですから。卒業後に就職する人もちらほら出るでしょうね。

そしてある程度育った若手正社員は上司の仕事を肩代わりできます。そうしたら上司にも余裕が生まれて、じゃあ新人研修に時間を割こうかなぁ、なんて思えるはずです。そうすれば、もう「生徒からの質問が分からなかった時の逃げきり方」なんて紙を貼る必要はないんだ。

 

まさに正のスパイラル。これが理想だと思うのですがどうですか?

 

あとは給料ですかね。優秀な講師は、学生であろうと圧倒的に高給にすべきです。塾の教室の中で「目標」「憧れ」がいないと、大学生は残りませんよ。「大人がカッコよければ子供はグレない」理論と同じです。

 

 

 

問題は山積みです。現場から離れたボクが言ってもしょうがない上に無責任だと罵られるかもしれませんが、この記事は塾のみならず様々な業界の人材育成に応用が効く考え方だと思うので、偉そうに共有しておきます。では。

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