カレー2日目最強説。

「カレー2日目最強説」は古くは15世紀ヨーロッパ発祥であり、コペルニクスがこの説を唱えて処刑されたのはあまりにも有名である。

そのあと、彼の説は日本の食品科学によって証明された訳だが、発表された当初はそれはもう反感を買ったという。「出来立てが一番に決まってるだろ!」

…というのは冗談にしても、出来立てよりも翌日の方が美味しいというのは、よくよく考えれば俄かに信じがたい話ではある。例えばご飯は炊きたてが美味しいし、パンは焼きたてが美味しいし、ソフトクリームは機械から直接吸うのが一番美味しい。

2日目のカレーの魔力は、味の落ち着き具合にあると思う。初日は角が立っていたジャガイモも、獣臭さの残った豚肉も、24時間近くルーという混沌の中にいれば自然と馴染むものだ。角は取れ、臭いは消え、カレーという収束点に向かって歩みはじめる。

我々はそこに、「熟成」を見る。年上の女性が魅力的に映るのは、そこに自分にはない「落ち着き」や「余裕」や「妖艶さ」があるからだ。2日目のカレーは落ち着いていて、余裕で、妖艶である。カレーが妖艶というのも妙な話だが、レンチンしたご飯と共に口に運べば、その意味があなたにも分かると思う。

基本的に、2日目のカレーは自宅で食べるものである。

初日。ボチャボチャと適当に作ったカレーを炊きたてご飯で腹一杯食べ、残りは冷蔵庫に放り込む。翌日の帰り道では、「今日もカレーか」なんてため息混じりに歩くのがマナーだ。家に着き、コートを脱ぎ、荷物を置いて部屋着になる。スマホをいじった後、思い出したかのように冷凍ご飯をチンして、カレー鍋をコンロにかける。

コトコトと鍋が煮える。昨日見たはずの中身と比べて、明らかに色が変わっている。野菜たちが皆、茶色く染まっている。やがて温まったご飯におもむろにルーをかけ、麦茶などをダバダバとついで食卓へと急ぐ。

いただきます。あとは野となれ山となれ。いざ、幸福の絶頂へ。

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