エッセイ

散髪(後編)

髪を、切りに行った。実に3ヶ月ぶりだ。

その美容院自体が3回目で、3回とも違う人に切ってもらった。だから毎回、誰も気付かないマイナーチェンジが施される。正直自分でも、前回と何が変わったのか分からない。

「キマってますよ。」と美容師は言う。これはブログにおける「面白かったです。」と同じで、要するに「可もなく不可もなく、貶すのは失礼だけれどこの人に時間を割くのはダルいので適当にあしらわせて頂きます。」という意味だ。

すべて終わったあとの、シャンプーの時間。あれが好きだ。顔に布を被せられると、「あ。おれ死んだ」と思う。いま頭に塗りたくられているのが、シャンプーじゃなくて歯磨き粉でも絶対に気が付かないよな。死にゆく脳みそが、訳の分からない信号を出す。

家に帰り鏡を見ると、見慣れた男が映っている。100均でガラクタが便利そうに見えるのと同じで、美容院では、とても凛々しく見えていた自分の顔を見つめる。

やっぱり、髪を切ったくらいじゃ何も変わらないよな。そう言って、どこか嬉しそうな顔で上着を脱ぐ。

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