11月29日。金曜日。
前日の夜、友人に朝4時ごろまで「ラブライブサンシャイン」を布教され、そして堕ち、現場に向かうまでずっと『New Winding Road』を聴きながら精神を高めた。
すばらしすぎる。メロディに一部の隙も無い。ギターがたくさん入っているが、本当に良い曲は、コードしか弾かない。
はい。
河原町駅にて、まずは今回の依頼者であるボーカリストと、僕が信頼するサポートピアニストとの顔合わせ。
僕は双方と面識があったものの、彼ら同士は初対面だった。しかし、ふたりのフランクな人柄のおかげもあって、すぐに打ち解け、笑い声を交えながらまずはピアノのレコーディングへと向かった。
打ち合わせ通りにピアノを録った。かなり良い音で録れたと思う。彼がピアノに触れるたびに、打ち込みのデモに華が咲くのが分かった。僕はこういう瞬間のために音楽を仕事にしたのだ。ボーカリストも終始ご満悦で、非常に素敵な雰囲気でピアノレコーディングは終了した。
次にボーカルレコーディング。音源づくりで最も緊張する場面と言っても過言ではない。ここが失敗すれば、曲はいとも簡単に破綻する。つまり『どれだけ良い音で』『どれだけ快適に』歌ってもらうかが大事なのだ。
ボーカリストの歌唱力は素晴らしいもので、キーの高い曲にも関わらず最後まで余裕を持って歌っていた。大人っぽい甘い声と、彼独自の旨味たっぷりのクセを交えながら、2時間で一気に録り終えた。
編曲にあたり、送られてきた弾き語りになかった多重コーラスを入れたので、そこがストレスにならないかと心配していたのだが、彼はケロッとした顔で「まだいくらでも歌えるよ」と笑っていた。フィジカルもメンタルも強い、素敵なボーカリストと仕事ができて良かった。
すべて終わったあと、少しばかり打ち上げをした。3人で軽く飲み、各々の予定のために2時間もせずに解散した。また彼らと仕事ができたら幸せだなと、僕は飲み会の最中ずっと思っていた。そしてそれは、たぶん叶うような気もするのだ。
そのあとは最後の力を振り絞って、とある音の録音に向かった。何の音を録ったのかはネタバレになるので書けないが、「この音をマイクで録って音楽に使うのはたぶんゼロカラカンパニーが初だろう」とは思っている。こうご期待!
そんなこんなで、仙台に来た一番の目的である『出張弾き語りレコーディング』、無事終了!あとは家に帰ってミックスマスタリングをし、納品することで完成だ。
音楽において、録ったあとの編集はとても大事だ。あとは僕の力量次第。絶対に良い音源にする。
彼らの演奏力・歌唱力は本物だった。これが悪い音源になることがあるだろうか。僕は後の編集が、楽しみで楽しみで仕方がない。