1月3日。夜23時。
目覚まし時計を5分おきに6つセットする。
カーテンを開けて布団に入る。
エアコンも起床30分前でセット。
完璧。完璧だ。
1月4日。朝6時30分。
けたたましいアラームが部屋中に響き渡る。
外はほの暗い。久々に聞く鳥の鳴き声が、静かなのにうるさい。
少し、喉が痛い。酒焼けか、実家の父の風邪が移ったか。
5分後、アラームが鳴る。もう起きてんだよ、こっちは。残り4本、すべて切る。
むくりと起き上がる。これからスーツを着ることを想像する。ネクタイが嫌いだ。なんであんなもの付けなきゃいけないんだ。思考はどんどん後ろ向きになる。
それでも布団から出なければならない。あと3回鳥が鳴いたら出よう、と決意した次の瞬間、もう5回目の鳴き声が聞こえており、あと10回。ボーナスタイム、などと現実から目を逸らしている。
結局朝ごはんは作れなかった。キッチンからカロリーメイトを取り出して鞄に放り込む。
2日ぶりに髭を剃った。顎を撫でると、少しヒリヒリと痛む。
髪型を整える時間はなかった。前髪は不可解な曲線を描く。
キリリと寒い外に飛び出すと、溜息すら凍り付きそうだ。
さあ。ここからは現実。
甘えてられないぞ、自分。目の前のオヤジを早歩きで追い抜かす。