エッセイ

冬の足音

もう、すぐそこまで、迫って来ている。

秋は美しい。美しいものは短命だ。春と秋。控えめで日本的な彼らはあっという間に夏や冬に淘汰され、いなくなってしまう。

派手なものが勝つ。そういう世界だ。

街はハロウィン一色で、去年は何かしたっけかと思い出そうとするも記憶がすっぽりと抜け落ちている。ボクのいた大学はたしか学祭の真っただ中で、木枯らし吹く仙台でコートに包まっていた記憶がある。

今年?今年はオシゴトだ。オシゴト。夜まで働いて、半額の弁当を買って、テレビのない部屋でひとり暖かくしてブログを書く。

静かな部屋の中まで、街の喧騒は届く。ハロウィンが終われば、ボクの恐れているイベントがやってくる。

赤と緑の似合うそのイベントが、今年はたぶん嫌いだ。

でもボクの意思など、奴らには関係ない。

派手なものが勝つ。そういう世界だ。

-エッセイ

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