音楽

米津玄師、やはり化物だった。

2018年10月28日。日曜日。快晴。幕張メッセで行われたライブ「Flamingo」に行ってきた。

1曲目は「LOSER」だった。ふわーっというシンセの音が止み、バンドサウンドになる瞬間。彼はめちゃくちゃ低い声で

 

「あーい。」

 

と言った。それはそれは気の抜けた声だった。マイクチェックでさえ、もっと気合いの入った声を出すだろう。

でもなんでだろう。その瞬間、ゾワっと鳥肌が走った。

あれは何故だったのだろう。少なくとも言えること。米津玄師以外がやっても、全然カッコよくなかった。例えばボクがやったら、絶対PAさんにマイク切られる。

でもそれは、同時に答えでもある。「米津玄師以外がやってもカッコよくない」…それは裏を返せば「それをやって許されるのは米津玄師だけ」ということだ。

 

人はそれを、個性とかキャラクターと呼ぶ。例えば米津玄師が「あーい。」の代わりに「行こうぜ!!!!幕張ィ!!!!!」と叫んでいたらどうだろうか。…きっとそんなにカッコよくは、なかったんじゃないかなぁ。

米津玄師には生活感がない。実在する人物だとはあまり思えない。何ならどことなく妖怪っぽい…。そういう彼が開口一番「あーい。」などという訳の分からぬ言葉を放った。

 

その瞬間。

張り詰めた空気が、確かに弾けた。

 

「想像通りの米津玄師だ!!!!」

 

誰もが思ったはず。その証拠に、とてつもない大きさの歓声があがった。

 

…やがて「LOSER」が終わると、彼は「ヒャッヒャッヒャッ」と笑った。

いや、そんなこと、できます???

米津玄師は、やはり化物だった。同じ時代に生きている、ボクらはとても幸せ者だ。

-音楽

© 2023 タメになってたまるかマガジン Powered by AFFINGER5