エッセイ

地元を愛するすべての人へ。

静岡県東部の小さな町。ボクはそこで18年間育った。

のんびりした街だった。田畑のあまりない、閑静な住宅街だ。隣人同士のコミュニケーションが厚く、よく井戸端会議を見た。中学の隣の駄菓子屋に、毎日のように通った。遊戯王カードを持って、自転車で友達の家に走った。5時のサイレンが鳴って、薄暗い街がなんだか怖くて、立ち漕ぎで帰るとお風呂が溜まっていた。

この街には、「地元が嫌いな大人」があまりいない。中学の同級生は、ほとんどが地元に就職したらしい。実家を継いで、結婚し、家を守る。そういった進路が、この街には多く存在する。

近くに新幹線の止まる駅があり、東京へのアクセスが良い。通勤通学だってできる。だから当然のように、街は栄えていった。10年以上前に35000人と習った人口は、いまや40000人を超えている。少子高齢化の波に抗い、子供がちゃんと増えている。大きな幹線道路が完成し、マンションが次々と建てられた。若い夫婦とベビーカーを、よく見るようになった。

 

地元の友人に、いつ帰ってくるのか、と聞かれた。

帰るつもりはない、そうハッキリ答えた。

 

ボクの地元は素晴らしい街だ。きっと幸せな人生が送れる。町役場で働き、素敵な人と結婚し、家を継ぎ、たまの休みに東京へ。そんな人生も、きっと、どこかにあった。

会社の研修(詳しくはこの記事を読んでね)で分かったのだが、ボクは戦う人生が好きだ。野心を燃やして、ギラギラしている方が、性に合っている。誰かに笑われるくらい、がむしゃらにもがいてやる。たまにこういう、恥ずかしいブログだって書いてやる。

 

だからボクは、地元に帰るつもりはない。というか地元に帰れないくらい、有名になってやる。見てろよ、静岡。

…あー、明日の朝、恥ずかしくなるやつだこれ。

バイバイ。

-エッセイ

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